銀座の千夜一夜物語
今回も面白かった!
銀座ライオンさんでのこの企画は2回目ですが
場所の贅沢さ(立地だけでなく~)、音楽を贅沢に楽しもうというライオンさんのコンセプト、
本当に素敵です。
ビール好きの後輩ダンサーさん、とーってもお気に召したようで
こんなブーツグラスのビールを堪能されてました。

このグラスは飲み方にコツがいるんですよ。
日本でこれを飲める所って、あんまり無いと思う。
ジプシーヴァイオリンの古舘さんの演奏のチャルダーシュ、
やはり大迫力でした。
前回、曲中に使う予定の小道具を控室に忘れてステージにあがり、
途中で気が付いて青くなった

・・・という事件があったので
今回はそのリベンジ!でした。
(こういう忘れ物はなかなか無いと思う・・・

)
今回は古舘さんからとっても可愛いハンガリージプシーのスカートをお借りして、
お揃い衣装にしてのコラボレーションでした。
ハンガリージプシーって花柄とにかく多いらしいです。
とにかく今年はジプシーに縁がある。
思えば「千夜一夜」は2006年の夏からやっているので
かれこれ8年です。
色んなことやってきました。
その時のマイブームをもっとも反映させているショーです。
旗揚げ当初から周りの環境は激変したけど
自分の中の千夜一夜は変わっていない。
きっと、これからも。
それにしても、客席も豪華でした。
リタムのミホさんや、横浜のイズミさん、、、大磯から関口先生も。
ゼトゥーナのメンバー、ボルボレッタの娘たち、ノアクラスの方、
アラベスクの方々も、ありがとうございました!
以下、ヴァイオリンの及川景子さんのFacebookの記事から転載します。
☆☆☆
ご来場頂いた関口さんから、セットリストが配られたらよかった、とのご意見いただきました。前回のライオンライブでは配って、今回やらなかったので私も気になっていたのと、今回特に2部は弾いているうちに、演奏の流れの中に入って聞いたり見たりして欲しいな、という気持ちがどんどん高じて、入れるはずのMCをその場でほとんど抜いてしまって…説明的な事、殆ど話しませんでした。
そんな事情もありまして、私は普段はめったにやらないのですが、セットリストをここに挙げます。
聞きにきてくださった方、「あの曲好きだったな…」と思った曲があったら、そこからどんどんアラブの音を聞き進めていっていただければこんなに嬉しい事はありません。是非その際はこのセットリストをお役立てください。
✴✴✴✴
1st.
1、Samai Rast (器楽演奏/古典形式の器楽曲/作曲: ムハンマド・カサブジ)
2、Alf Leila W' Leila(Noel&Huleya duo/作曲:ムハンマド・アブドゥルワッハーブ)
3、永遠なるナイル (器楽演奏/作曲: ムハンマド・アブドゥルワッハーブ)
4、Awdt Ainy(Huleya/作曲: リヤド・サンバーティ)
※ウム・クルスームの歌った曲で「私の瞳はあなたを見るのに慣れすぎてしまった…あなたをもし見ない日があったら、それは私の人生の1日には数えない」という情熱的な恋の歌です
5、アカシアの道〜チャールダーシュ(Noel/スペシャルゲスト古館さん)
2nd.
1、Lama Bada Yatathana(Noel&Huleya duo/古典歌曲ムワッシャハ/作者不詳、アレンジ:常味裕司)
2、光り輝く街(器楽演奏/イラク、作者不詳)
3、W'Daret El Ayam(Noel/作曲: ムハンマド・アブドゥルワッハーブ)
※これもウム・クルスームの歌った曲で「そして日々は巡り過ぎていった、隔たりと諍いの果てに…でも再びあなたに会った瞬間、諍いも、苦しみに眠れなかった日々の事も、全て忘れてしまった…やっぱりあなた無しでは生きていけない」という恋の歌です。
4、レバノンの夜(Huleya/作曲: ムハンマド・アブドゥルワッハーブ)
5、Kul Da Kan Leh(器楽演奏/作曲: ムハンマド・アブドゥルワッハーブ、アレンジ:常味裕司)
6、Raqsa Rast(Noel&Huleya duo/作曲:常味裕司)
アンコール
アルジェリアの夜(作曲: ムハンマド・アブドゥルワッハーブ)
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補足-------------✴
今回で、音楽ビアプラザライオンで演奏させていただくのは二度目です。銀座で西洋クラシックの生演奏を楽しみながら食事とお酒を楽しむ、という、日本ではなかなかない優雅な時間を長い事提供されてきたこの場所で、中近東の音楽を演奏させていただくのは私にとって大変意味深い事です。前回はちょっとモダンなアラブの音のイメージでドラムやベースを加えた洒落た曲を中心にしたプログラムを組んだのですが、今回は、思い切ってアラブの音楽の中でも日本でなかなか耳にしないようなコアなプログラムを並べて、是非ご鑑賞して頂きたいと思いました。
特に2部は、日本で25年以上もの間ウード一本に打ち込んでこられた常味さんが日頃から愛で慈しみ、磨き上げてきた名曲が並んでいます。
2部2曲目の器楽演奏「光り輝く街」は、常味さんの師匠であるアリ・スリティ師から受け継がれた曲で、常味さんがしばしばソロで演奏されてますが、これまであまりアンサンブルでは演奏される事のなかった曲ではないかと思います。
また2部5曲目のKul Da Kan Lehは、常味さん独自のアレンジによって珠玉の器楽曲となっている一曲です。
このタイトルを直訳すると、「過去に起こった全て」というような意味で、その後に続く歌詞を読むと、「過去に起こった全ての、その意味を見たとき…」というように続き、過去の恋を回想しながら心が懐かしく、切なく、そんな気持ちにあふれる様子が歌われます。常味さんは、「私の人生に起こった全ての事」とこのタイトルを訳していますが、確かに常味さんのアレンジでは、原曲の歌詞にある恋の物語よりも、遥かに雄大で普遍的な大きな物語の終わりを感じさせます。さまざまな過去とその思いが、儚く、優しげに浮かんでは消え、最後にそれら全てが時の彼方に遠のいて、閉じられる瞼の闇のなかに溶けて、一つの人生が幕を閉じる。そんな別れを経なければ紡ぐ事のできない、命の深みに届く音の物語だと思います。
そんな曲の数々を分かち合って演奏させていただいた常味さんに、今回も深く感謝しています…て、常味さんFacebookやってないから見ないと思うんですが!かといってMCでもこんな事言えないし!というわけでここに書いておきます。
他にも、マカームラストではじまってバヤティときて…最後もバヤティからラストで終わる、とか、光り輝く街から次の曲へのマカーム的な繋がりも…とか、別に常味さん含め他のメンバーとは一切話していませんが、コッソリ仕掛けてました。 マカームの流れを工夫すると、音の色合いの中に長い事浸っていられて、絶対気持ちいいと思うんだよね…と思ったら案の定、撃沈してお休みになっておられるお客様もいましたヨw
でもそれもまたいいんです。気持ちよくなって下さるのが何よりなのです。人一人気持ちよくさせるっていうのも、そうそうできる事でなし、それができればなによりだと思うんですネ。
☆☆☆
オリエンタルダンスに惹かれている方は
もちろんその美しい動きが好きなのだと思いますが
音楽あっての踊りなので、
ぜひアラブの音楽にもっともっと興味を持ってもらえたらと思います。
とある教室の生徒さんと話していた時
習っている振付けの順番に追われていて、
音楽のこととか、オリエンタルダンスの歴史とか、レジェンドダンサーの名前とか、
まったく触れる機会もない(というか、興味を持つ暇もない)という話を聞きました。
こういうのは、自分で掘っていくしかないのかな。。。
掘ればいくらでも情報が得られる時代ですから。
そのきっかけになるのは「ショーを観る」こと。
そこで気になる曲に出会えたり、踊りのスタイルに出会えたり。(あの珍しい衣装は何?とか)
スタジオに通ってるだけではなかなか普通は出会えませんね、とくに初級以下の場合。
伝えたいと先生は思ってるけど、
なかなかそこまで時間がなかったりするでしょうし。
そういった意味で「一番大事なことはショーで伝えている」と言っているのです。
オリエンタルダンスがダイエット体操ではなく、人に見せるためのダンスである以上、
人に見せている状態の時に本質が見られるし、そこが一番楽しい、ということかな。
(何をそんな当たり前のことをーーー、と思うかもしれませんが、
これがそうだと思われていないんですよ、最近では)
というわけで、どんどん音楽とダンスに触れて、興味を持っていただきたいと思います!